Stockweather&FACTA「ニュースの深層」テレビ、新聞からは知り得ないニュースの裏側を読む

「サイバード」買収に中韓IT企業が名乗り

携帯電話向けコンテンツ事業大手サイバードホールディングスの売却が始まった。同社はNTTドコモの「iモード」ブームに乗り、2000年前後に脚光を浴びた新興IT企業の一角だった。しかしITバブル崩壊後、業績は停滞。07年に投資ファンド、ロングリーチグループの資金支援でMBO(経営陣による自社買収)する道を選び、08年、ジャスダック市場から撤退した。

それから2年あまり。サイバードの業績が好転しないため、「ロングリーチ側はこれ以上の改革は難しいと判断し、撤退に向かう」(関係者)模様。米モルガン・スタンレーを財務アドバイザーに雇い、携帯サイト運営会社だけではなく、化粧品・雑貨通販子会社を含めたグループ全体の売却プロセスを開始した。アドバンテッジパートナーズやポラリスといった国内投資ファンドなどが関心を示している。

しかし、投資銀行筋によると「有力候補はファンド勢ではなく、中国と韓国のIT企業」という。中国、韓国では日本の緻密なネット通販サービスや携帯コンテンツ技術に関心が強く、「アジア勢は相当の条件を提示した」(投資銀幹部)。

折しも5月には韓国のネットサービス最大手NHNがライブドアを買収。その最終入札ではロングリーチがNHNに競り負け、「日本のIT企業はアジアでカネになる」ことを学んだ。敗北の経験をサイバード売却に生かすことができるか、注視される。

[2010年9月号]



「4代目マーチ」でトヨタを追い抜く日産

日産自動車のカルロス・ゴーン社長がグローバル・ローコスト経営の先頭を走っている。7月に国内発売を開始した4代目「マーチ」はタイから輸入する。生産は追浜工場からタイに移した。日本の自動車メーカーが量産車を海外拠点から輸入するのは初めてだ。最廉価車種は99万9600円と100万円を切る。さらに「マーチ」に採用した「Vプラットホーム」を使って全世界で年間100万台を生産する計画だ。インド、中国、メキシコで生産し、世界160カ国で販売する。

タイ工場での現地部品調達率は95%。内訳はタイ85%、中国とインドで10%と、グローバル調達を徹底させた。エンジンは4気筒から3気筒に小型化。燃費効率もガソリン1リットル=約26キロとガソリン車ではトップクラスだ。タイで同国初の「エコカー」に認定された。

日産再建期にゴーン氏はNKK(現JFE)からの鋼板調達を減らして新日本製鉄に切り替え、大幅なコスト削減に成功した。今回の「マーチ」でも、車体に使う「ハイテン材」(高張力鋼板)を日本から輸入するとコスト高になるため、現地調達する方策を見出した。日産ではどの車種をどこで生産するかを決める「社内入札」のようなルールがあり、コストダウンを徹底している。ゴーン氏は常に厳しい。タイの事業強化をめぐっては、現地法人の出資比率を高める条件として、合弁相手の財閥企業オーナーが経営に干渉しないことを要求。先方はいったん条件を呑んだが調印直前に「経営に残りたい」とごね出した。タイに出向いていたゴーン氏は「会談をドタキャンして引き返した」(日産関係者)。

決算を見ても日産は好調だ。11年3月期の第1四半期の中国での販売台数は、前年同期比68.2%増の24万3千台。同時期の中国市場は69・5%伸びており、キャッチアップに成功している。それに比べてトヨタ自動車は18%増の18万6千台。伸び率、台数ともに日産に後れを取る。

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[2010年9月号]



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